階段についての3つの実践

① 階段を降りるスカーレットβ版 

② Climb another stair to get tolook at a picture.

③ I think the time axisfor go down the stairs.


マルセル・デュシャンの代表作「階段を降りる裸体」では、他のキュビズムの絵画手法とは異なり、一つの対象を様々な角度で観察するのではなく、一つの動く対象を一視点から観察し、観察した動きの瞬間を同一の絵画のなかに落とし込んでいる。そのキュビズムの時間的側面を引用し、一点からモチーフを追うことを「映画的視点」として考えた。また、「階段を降りる裸体」を窪田茂子やエドワード・マイブリッジをはじめとして様々な作家が、行為や階段というモチーフをオマージュする作品を残している。階段というモチーフは、展示空間に置かれることで、「階段を降りる裸体」を想起させるアイコンとしての機能を果たしていると言える。そのアイコン化したモチーフを元に、既存の映画のなかで階段を降りるシーンを切り取り、切り取られたシーンのなかで起こる行為のすべての時間のコマが同居する映像と階段(立体)を制作した。展示空間では、テキストを階段を登ることで見ることができる位置に設置し、鑑賞者に階段を登り、降りる行為を含めた作品として提示した。