地にまつわるナラティブ

 Narratives related to the place

福島県会津地域のある集落で75年前に行われていた祭礼のリサーチをもとに、ムラの記憶を辿るパフォーマンス映像とインスタレーション作品を制作。今では空家だらけとなってしまった集落の風景から見えてくるくらしの記憶、途絶えていく文化と残されていく有形のものたちの「ものののこしかた」を提示した。 


ムラのくらしにはまず、先人への意識や思想があり、先人が残した家に住み、先人が残したものを重んじる。ムラを歩いていると何軒も先まで空き家になっているが、なぜか濃密にくらしの気配が漂っていて、記憶が至る所に残っている。都市で育った私は、その状況を理解することができなかった。刹那的なくらしのなかで、昔と今がつながっている感覚は薄い。

ある時、かつてムラで行われていたチンドン屋の行進の写真を見せてもらった。その写真は、神社の祭事を宣伝するためにチンドン屋が村々を練り歩いた記憶を残していた。このハレの日を象徴する写真をきっかけとして、ケやハレの記憶を、想像力でなぞっていくことにした。

破れても継ぎ接ぎによって衣服を再生してきた衣装文化であるボロサシコの手法を引用し、衣装を制作。それを纏い、記憶を辿ることで、先人への意識や思想を残そうとする意志やこの地で生きることの複雑な状況を知る手がかりを探る。


From observing the existence of things, events, and people, I consider a person's life and certain land and create based on the emotions and consciousness that were born from that. I present installation works that combine video and various materials. Currently, I am paying attention to the material of cloth and is searching for an expression method through sewing and wearing. Establish a small museum in a village in Nishiaizu Town, Fukushima Prefecture, which is the base of my activities, and is practicing creating a place for cultural and artistic appreciation to open up in the area with local residents.